フィルム現像を再び

とうとう買ってしまった。現像タンクやダークバッグ,ポリビン,現像液など。並べるとこんな感じ。

これで35mmモノクロフィルムの現像ができる。結婚するときに持っていた機材をすべて破棄して以来,34年ぶりにそろえた現像セット。

デジタルカメラの便利さから,フィルムカメラはもう使わないと思っていた。どう考えても,デジタルカメラは高性能で,フィルム時代には考えられないくらい便利だ。いまさらフィルムで写真を撮るなんて,懐古趣味以外の何ものでもない。そして私は,その懐古趣味というものには陥りたくないと思っていた。

自分が生まれたときに製造されたライカを,いつかは手に入れたい。そのようには思っていた。でも,継続的にそれで写真を撮るというよりは,1,2回は使っても,あとはケースに入れて飾っておくようなイメージだった。なので,いまでも持っているペンタックスSP,ミノルタXD,コンタックスG1などを使うということも,お遊びで使うことはあったとしても,継続的にはそれで写真を撮ることはあり得ない。デジタルで撮った方がはるかに便利で自由だ。

それが何と言うことだろうか。あれよあれよという間にここまで来てしまった。自分でもよくわからない。懐古趣味なのだろうか。

もともと道具好きなところがある。本当は,写真が好きと言うよりは,カメラが好きだったり,現像したり,画像処理したりすることが好きなのだろう。高校の頃がいちばん現像をしていたと思う。あの頃のワクワクをもう一度。ああ,結局は懐古趣味なのか。

写真ではなく道具,という点も,何とか克服したいところだった。写真をたのしむとは。引退後の趣味の筆頭が写真なので,もっと写真について考えたいと,このところ考えていた。その流れで,なぜか懐古的な現像に向かってしまったようにも思う。考えているうちにあらぬ方向へ。

いろいろ考えながらも,たのしいと思えることを進めていく。それはそれでよいと思う。