- 作者: 田村秀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 新書
- クリック: 63回
- この商品を含むブログ (51件) を見る
統計データがあると,素直に受け入れてしまう傾向がある。でも,そのデータがどのように得られたものか,そこから考えないと,本当のことは見えてこない。
新聞やテレビで扱われるデータであっても,それがかなり怪しいものであると思ってきた。対象の選び方やその数など,はっきりしないデータは意味がない。調査方法とともに見てはじめて,そのデータの価値がはっきりするはずだ。
毎週,新聞にのる視聴率ランキングも,実は大した意味がない。都道府県ランキングも,いったいどのようにして決めたものか。そのような無意味な数値がひとり歩きして,多くの人を動かしていることの虚しさ。
全調査にあまり意味がない。これを知ることは大切だ。いま行われている学力調査は全調査。以前,文部大臣が「全調査だから確かだ」というようなことを言ったのには驚いた。調査されることがわかっているため,対策する学校や子どもが現れる。そのようなデータが混じったら,正しい調査と言えるのだろうか。
いままで統計データを鵜呑みにしていた人は,ぜひこの本を読んで欲しい。興味深い例をあげながら,わかりやすく解説してあるので,きっと役に立つだろう。
なお,中学や高校の新しいカリキュラムが発表された。数学では,統計がいままでより少し多くなったように思う。統計は必須のリテラシーとして,しっかりと学ぶようになって欲しいものだ。