欧文のPostScript Type1フォントをOpenTypeフォントに変換して加工した。その方法をまとめておこうと思う。
なお,既存のフォントを加工することは,著作権を侵害する可能性が高い。フォントは個人的に使うことはまずないので,フォントの著作権には十分に注意したい。また,ここの方法は,わたしの個人的な記録であり,この方法に対して,わたしは一切の責任を負わない。
使ったソフトウェアは次の2つ。いずれもMac版だけでなく,Windows版もある。
#「Mac版もある」の方が正確な表現かもしれない。(^_^;)
まずは全体の流れから。
1.Type1フォントをOpenTypeフォントに変換
OTEditはOpenTypeフォントしか扱うことができない。今回,加工したかったフォントは,PostScript type1フォントだったので,これをOpenTypeフォントに変換した。
2.OTEditで加工可能な欧文OpenTypeフォントを作成
OTEditは,OTEditで作成したフォントしか修正・保存ができない。したがって,既存のフォントを加工するためには,その複製をOTEditでつくる必要がある。
3.OTEditでフォントを加工
これではじめてOTEditによるフォントの編集がはじまる。
では,もう少し具体的にそれぞれの方法をまとめよう。
1.Type1フォントをOpenTypeフォントに変換
これについては,以前にAdobe Font Development Kit for OpenTypeで書いたので,ここでは省略する。
2.OTEditで加工可能な欧文OpenTypeフォントを作成
OTEditは,OTEditで作成したフォントしか加工できない。したがって,1の方法でつくったOpenTypeフォントは,読み込むことはできるが,加工したり保存したりはできない。
また,OTEditでふつうに作成すると,和文OpenTypeフォントであるSdtフォント(Adobe-Japan-1-3タイプセット)もしくはProフォント(Adobe-Japan1-4フォントセット)になってしまい,欧文OpenTypeフォントがつくれない。
この2つの問題は,加工したい欧文OpenTypeフォントを,空の欧文OpenTypeフォントに一括コピーすることでクリアできた。
(1)空の欧文OpenTypeフォントを準備する。
ここから空の欧文OpenTypeフォントをダウンロード。解凍するとEng1P.otfが得られる。これをOTEditで開き,設定-フォント情報で,書体名などを修正して別名で保存する。
たとえば,次のようにする。
(2)(1)でつくった空のフォントに,加工したいフォントを一括コピーする。
OTEditの一括コピーで,コピー元ファイルに加工したいフォント,コピー先ファイルに(1)でつくった空のフォントを指定する。
ここで,コピー文字コードをすべての文字コードとすると,OTEditが予期せぬエラーで落ちる。そこで,コードで0020-FB02と指定すると,今度も予期せぬエラーで落ちる。何と,0021-FB02と指定すると無事に一括コピーできた。
【追記:2012/03/11】
空の欧文OpenTypeフォントEng1P.otfはCIDで000から252まである。したがって,コピー文字コードの指定で,コピー元をコードで000から252,コピー先を元と同じ,コード種別をCIDとすべきかも。また,OTEdit for Macのバージョンも上がっているので,もう一度試す必要がありそうだ。
なお,文字コードをファイルで指定するのが確実かもしれない。そのファイルをつくりここに置いた。もちろん,このファイルについても責任は負わない。
3.OTEditでフォントを加工
フォントの加工に入る前に,次の2つの処理をする必要がある。
(1)メトリクスの補正
1のAdobe Font Development Kit for OpenTypeで変換したフォントのメトリクス情報は,もとのType1のものとは違っているようだ。したがって,設定-フォント情報でメトリクスを修正する。
もとのメトリクスを知る方法がわからなかったので,わたしの場合は,古いiBookでOS9を起動し,そこに入っていたFontoGrapherでType1フォントを開いて情報を確認した。これ以外によい方法があれば教えていただきたい。
(2)スペース幅の補正
2の一括コピーではスペースをコピーしていない。そのためスペース幅がもとのEng1P.otfのままになっている。それを補正する必要がある。
これらの処理をすれば,あとはフォントを加工するだけ。