グループホーム

近所に一人で住んでいた義母。しばらく前までは,デイサービスに行ったり,ヘルパーに来てもらったりしながら,女房が介護することで何とかやってきた。

しかし,高齢のためか,体力が落ちたり,認知症が進行したりで,介護も大変になってきた。デイサービスを増やしたりしたが,それでも苦しくなり,ショートステイを利用するようになった。

その後も認知症が進み,2,3時間でも一人にしておけなくなった。夜一人にして,翌朝女房が行くと,家の中が散らかっていたり,不潔行為もあって,その片付けだけで疲れ果てるほどに。ショートステイの回数や日数を増やして,何とか乗り切ろうとしたが,夜も一人にしておけないため,女房が一人で世話をするのはもう限界になった。

いろいろと相談をしたり,施設について調べたりした。特養にも申し込みをした。順位はかなり上位だと言われたが,空きがなければいつは入れるかはわからない。

また,ショートステイや特養での生活が母にとって本当によいのかも悩む。ショートステイに出かけても,結局は部屋でぼんやりしたり,フロアーを徘徊したりしているだけ。自分の部屋がわからなくなることも多い。人と接する刺激が少ないのは,自宅にいても同じなのだが,何もせずにぼんやりする時間が長いのは,認知症の進行を早めるだけなのではないか。

そこで行き着いたのがグループホーム。個室での生活があり,共同生活もある。できることは自分でやることになるので,多少は手を動かしたり,人と話をしたりもできるのではないか。

探してみたら,車で20分くらいの場所に手頃なところがあり,ちょうど一部屋空いていた。特養と比べると費用は多くかかるが,このままショートステイを多用するよりはよいのではないかと決心した。

母には前もって話をしても,すぐに忘れてしまうので,当日である今日,別の場所でしばらく過ごして欲しいことをたのんだ。母はあっさりといいよとの返事。1,2か月くらい前から,いろいろなことをそのまま受け入れてしまう傾向はあったが,あまりにもすんなりと了解するのには驚いた。こちらの方がさびしい気持ちになる。それだけ認知症が進行しているのか。

午前中に,着替えや着替えを入れるチェスト,自宅のテレビ,そのほか,日常必要なものを部屋に運び,契約をすませた。午後,ショートステイに行っていた母を,その施設に迎えに行き,そのままグループホームへ。

しばらく前は,新しい場所に行くと,警戒したり,心配になったりしていた。血圧がかなり上がったこともあったが,今日はまったくそのようなようすもない。施設の人の声かけにこたえたり,母から話しかけたり。

女房は心配そうに近づいて話しかけたり。いままで何日もショートステイで外泊させていたが,今回はちょっと違う。私もどうしたらよいものかと思ったが,女房を促してその場をあとにした。

母を施設に残して帰宅。何だか気が重く,心の奥にひっかかるものがある。でも,こうしなければ介護に苦しみ,母にとってもよいとは思えない。冷静に考えれば,そのように思うのだが。

つらい思いをしているだろう女房を残して,私は会社に向かった。