「テレビ報道の正しい見方」

テレビ報道の正しい見方 (PHP新書)

テレビ報道の正しい見方 (PHP新書)

このところのマスコミ報道を見ていると,何かヘンと感じる。その原因を「視聴率=利益率」と思い,何冊かメディアリテラシーに関する本を読んでみた。
Webを見ていて偶然にこの本を発見。いままでとは違った,恣意的な報道という視点に改めて考えさせられた。
ある考えにもとづいた報道はあってよい。ただ,それが真実でなかったり,中立を装ったものだったら。確かにそのような視点は大切である。わたしは,年とともに,穿った見方をするようになってきた。どちらの立場,どの考えにくみするにせよ,ちょっとそれはないだろう,と思うことが多くなった。この本で分析されていたニュース番組の特徴や,放送局の立場なども,ある程度理解しているつもりだ。
ただ,NHKのドキュメンタリーについては驚いた。NHKがこのようであるのなら,他局はどうなっているのだろうか。また,このような指摘により,正当な批判や報道ができなくなってしまうのではないか。その点が特に気になる。
最近,まともなニュース番組がなくなってきたと感じるのはわたしだけだろうか。テレビでは映像が大切なのはわかるが,大した意味もないイメージ映像を流したり,犯人や被害者の写っている映像を,1つの番組でも何度も見せられ,さらにいろいろな番組で見せられ,他の局でも見せられ,洗脳されるほどに見せつけられるのには閉口している。
番組制作者は,伝えるべきものを明確にした映像を,もっとつくる出す努力が必要なのではないか。一般の人が気付かない視点や事実を整理して紹介し,そこから問題点や解決策を提案できるもの。そのときだけの視聴率稼ぎではなく,見ているものにとって,利益になるような報道に期待した。
番組の取材で,2日目の天気が1日目と異なることを,わからないようにしたがる制作者。でも,このようなことはありがちだ。何が大切かを見失っている典型的な例だ。ことの本質を知り,その重要度をはかることができていないのではないか。また,見方を変えれば,視聴者をバカにしているのではないかとも思う。
なお,本を読んでいるとき,気になったページの角を折って,あとで見直すことができるようにしている。この本には角を折ったページがまったくなかった。著者には失礼だが,あまり新味を感じられなかったということかもしれない。