8時15分くらいに車で家を出て,20分には近所のクリニックに到着。少し待っていると呼ばれて検査室に。そこで上着を脱ぎ,検査着を着て,検査用のベッドに座って医師を待つ。
検査装置が横にあったので,首をひねってながめた。ディスプレイは何とブラウン管だ。ソニーのトリニトロン管だが,かなり小さなもの。3.5インチのMDドライブがあった。TEAC製で筐体は結構デカイ。挿入する細い管が接続されているデスクトップパソコン大の装置と,その下にも同じくらいの大きさの装置があった。さらに,その下にはプリンタ。
装置を観察していたら,すぐに看護師が小さなカップに白い液体の薬を持ってきた。胃を見やすくする薬と言う。胃の運動をおさえるものなのだろう。それを飲んで待っていると医師がやってきた。指示通りにベッドに横になる。鼻に麻酔薬と管を入れた。
看護師が現れ,今日の検査の説明。鼻から胃カメラを挿入する。額にしわがよるくらいに顔をしかめると,鼻の通りが悪くなる。リラックスしていてと。また,医師の指示に合わせて飲み込むように。検査は10分くらいであるとも。
医師がまた検査室に入ってきた。照明を消し,カーテンをしめた。いっきに暗くなる。さあ,検査開始だ。
鼻から入り,のどを通るときに,一瞬,げぇー,と拒否反応。その直後に飲み込んでと指示があり,その通りにしたら,すぅーと通った。のどをこすりながら,管が奥に入っていくのがわかる。異物が入る感覚があり,のどが痛んだり,げぇー,となりかけたりで,涙がこぼれる。
口から入れるよりもかなり楽だと,先回は思った。以前,口から太い管を入れられたときは,本当に苦しかった。そのときは,若い医師の練習台にもなったのでなおさら。ベテランの医師が持っているときはまだ楽なのに,若い医師が持つとそれだけで,げぇーーー,となる。
先回はまだその記憶が残っていたので,鼻から細いカメラを入れるのは,何と楽なんだろうと思った。でも,今回は,鼻からでも苦しかった。先回と変わっていないのだろうが,そのように感じた。
看護師が横についていてくれて,背中をさすってくれた。不思議なもので,体をさすられると,その刺激に脳が反応するためか,異物を挿入している感覚が和らぐ。のどや胃の中に気持ちが向かうと不快が一杯になるが,さすられている感覚に気持ちを集中すると,不快感がすっー,と減っていく。本当に不思議な感覚で,このことを考えて,気を紛らせて乗り切るよう努めた。
胃から十二指腸までをチェック。そこで医師から異常がないことを告げられ,これからカメラを抜きながら食道を検査すると。ずるずると抜き取られていく。ときどき不快感が上昇するが,もう終わると思えば我慢もできる。しかも,まだ背中をさすってくれている。背中をさするのは,麻酔に匹敵するのではないかと思った。
抜き取るのは簡単で,終わりはあっけなかった。体を起こしてベッドに座り,鼻をぬぐい,涙をふいていたら,医師の説明がはじまった。画面に画像を写しながら,潰瘍やがんのような悪いものはないが,軽い胃炎と,胃に入る直前の食道に,逆流性食道炎があると,画像を示しながら説明してくれた。大したことはないが,胃酸をおさえる薬と,粘膜を保護する薬を出すので飲んでくださいとも。
検査室を出て,待合で待っていると,名前を呼ばれた。医療費を支払い,処方箋,領収書と明細を受け取る。すぐに自宅に戻り,車を置いてから,歩いてすぐの処方箋薬局に行って薬を購入。
帰宅後,遅い朝食をとって,少しのんびりしていたら,思っていたよりも遅くなってしまった。10時半のバスに乗り,分室に出社したのは11時10分くらいだった。