腐った水

自分の子どもの点滴に異物を混入させたとして,母親が逮捕された。しかも一人だけでない。そして,すでに何人も亡くなっているという。非常に悲惨な事件だ。このような母親の行動に,心の病が疑われているとも言う。まわりで気づく人がいなかったことが悔やまれる。

この事件が報道されたとき,不思議に思ったことがある。テレビのニュースで,点滴に「腐った水」を混入させたという。「腐った水」とは何をさしているのか。わたしはこういうことをすぐ突っ込みたくなる。

水が腐るという表現はふつうに使うのかもしれない。ふつうの水には不純物が混じっている。そこには,バクテリアもいれば,その栄養素になる有機物も混じっているだろう。その量や環境のバランスにより,バクテリア有機物を分解して増えることもある。分解産物として,硫化水素なども発生し,「腐った」と言われる状態になるのだろう。

この事件では,そのような「腐った水」を使ったのか。

翌日以降の報道では,「腐った水」が「水道水」になった。「水道水」なら,簡単に調達できるので,現実的な犯行のように思える。では,なぜ「水道水」を「腐った水」と報道したのか。ますます不思議なことになってきた。

ここからはわたしの想像。

犯人が「腐った水」と供述したのではないか。警察がそれを発表し,それをそのまま報道した。取り調べが進み,「腐った水」というのは,何かの容器に入れておいた「水道水」だということがわかった。それをまた警察が発表し,それをまたそのまま報道している。

あくまで想像だが,最近のニュース報道はこんなものではないかと勘ぐりたくなる。つまり,発表されたままに,その内容を疑うことなく報道する。何かあれば,情報源がそうだったからと。厳しい言い方をすれば,「大本営発表」と大差はない。

「腐った水」からここまで言うのはかなりの飛躍か。