
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/18
- メディア: 新書
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まえがきのこの記述が印象的だった。
数学を学ぶ意義を,数学が役立つことに求めることがよくある。役立つから勉強すべきなのだろうか。いつからこのような功利主義になってしまったのか。だから受験のためだけの勉強になってしまうのではないか。
また,役立つのは子どもにとってなのか。将来役立つというが,ほんとうは大人のためなのではないか。日本の将来のためにと言われても,子どもにとってはピンと来ない。
逆に,数学のおもしろさを主張し,数学を学ばせようとすることもある。誰もが数学のおもしろさを感じる必要があるのだろうか。数学のさまざまなテーマに等しくおもしろさを感じるものなのだろうか。
いずれも何のために数学を学ぶかという問いの答えにならないように思う。このようなことを考えていたときに,この本を見つけた。その答えはこの本にあったのか。
忘れてしまった。^_^; 読んだときにはいろいろと参考になると思ったのだが,上記の問いの答えは得られなかったと思う。
とにかく,興味をもった内容を記録しておこう。
論証をロールプレイングゲームを例にして説明するのはおもしろい。まず公理があって,そこから定理を導き,それをもとにさらに新しい定理を得ていく。ロールプレイングゲームで,主人公がさまざまなアイテムを得て,そのアイテムを使って新たなアイテムを獲得する。そうやって,ゲームは次々に先へ進む。例になっている「MIUゲーム」も興味深い。
このようにして,まずは論証そのものについての理解をさせる。それがあってはじめて,証明問題の意味がわかるのではないか。
数の理解について記述は,子どもがどのようにして理解するのかという点を,もっと考察しながら説明があると,この本の趣旨にあっていたように思う。わたしは興味深かったが。