大前提という用語

 △ABCにおいて,∠A+∠B=90°ならば,∠C=90°
 この命題の仮定と結論を言え。中学生の数学の問題である。もちろん,仮定は∠A+∠B=90°,結論は∠C=90°になる。では,“△ABCにおいて”は何? わたしはいつもこういうところで悩んでしまう。
 教科書には,先生用に指導書というものがある。それによると,“大前提”であるらしい。単なる“前提”ではなく,“大”前提だという。
 ところで,この命題の逆は? あまり悩まなければ,△ABCにおいて,∠C=90°ならば,∠A+∠B=90°と答えるだろう。それで正解だ。
 ここで,“△ABCにおいて”は,さすがに“大前提”だけあって,逆にしてもそのままだ。では,なぜそのままでよいのか。“大前提”だから。^_^;
 この命題は,“△ABCにおいて,∠A+∠B=90°ならば,△ABCにおいて,∠C=90°”とも表すことができる。つまり,2つ目の“△ABCにおいて”を省略したと考えることができるのではないか。そうだとすれば,逆にしても,2つ目を省略して何が悪いか。
 最後に,“大前提”というのは,ちゃんとした用語である。広辞苑第五版によると,“三段論法において、大概念を含む前提で推論の根本契機。”とある。
 疲れて夜遅くに帰宅,晩酌のあとには,なかなかむずかしい。いつか素面のときにでも,“大前提”について考えてみようと思う。