小惑星探査機「ミューゼスC」が打ち上げられた。このことについて知ったのは,打ち上げ前日である8日の夕刊であった。その記事の中に,ずっと以前の「夢」を見た。
中学生のころ,ロケットにこっていた。そのころ,日本初の人工衛星「おおすみ」が成功した。でも,それとは関係なく,ロケットにあこがれていた。鉛筆のキャップでつくるロケットでの遊びからだった。
古本屋で,ロケットの本を買った。どこにいってしまったのか,いまはない。確か共立出版の本で,読み物と言うよりは,大学のテキスト風のものだった。この本に,未来の技術として,光子ロケットや原子力ロケットなどとともに,イオンロケットが紹介されていた。わたしは,光子ロケットは現実味がないように感じた。原子力ロケットは,燃焼室で連続的に核爆発を起こして噴射させるもので,やはりいただけない。それらに比べ,イオンロケットはすばらしいものにうつった。
なんと,「ミューゼスC」は,このイオンロケットエンジンで飛行する。
30年以上もたったいま,現実にこの技術が使われる。子どものころの夢であった技術で,実現したものは,他にもいろいろとあるだろう。ただ,ずっと忘れていたものだけに,遠い思い出の風景が突然現れたような懐かしさを感じる。直径500mほどの小惑星から,岩石を採取して戻ってくるらしい。夢がますます大きくなる計画だ。成功を祈りたい。