技術者不足,理系離れ

新聞の記事によると,技術者が不足しているそうだ。若者の理系離れも言われているため,技術立国が危うい。国をあげての騒ぎにもなっているようで,学習指導要領の改訂も,数学や理科の充実がうたわれている。さらに,その実施も前倒しにしようという勢い。突貫工事の様相だ。

若者が理系をめざさないのはなぜなのか。興味をそそる教育をして,好きにさせれば解決するのか。理科好きのわたしは,理科好きを増やすことには大賛成だが,その目的には納得がいかない。

明治以来,科学を国の発展のための道具としてしか考えていないのではないか。科学と技術が一緒に議論され,役立つかどうかで予算を決める。そのような発想が,人にも向けられていないのか。

好きであれば,頑張ることができる。確かにそうだ。でも,頑張っても報われなければどうなるか。そのことを見ている若者やその親の世代は,どうしたいと思うのか。

何も生産しないで,情報を操作するだけで大金を手にして,豪華なマンションに暮らす。もちろん,そのような生き方もあってよい。でも,卓越した技術者のイメージは,どんなだろうか。コツコツと努力して,すばらしい技術をものにする。その努力の結果として,栄誉や誇りを手にすることもあろう。

でも,若者がなりたいと思うようなイメージがそこにあるのだろうか。

いますべきことは,技術者を優遇することではないか。実際にものをつくり,社会に貢献している人たちに光をあて,その人たちを手厚く扱うことではないのか。好きな奴らにやらせておけばよいと言うような声が聞こえてきそうな状況で,この問題は解決できないと思う。

科学と技術を使い分けながらも,この点について書けなかった。それはまた別の機会にまとめたい。