まずは,「文系のための生命科学」東京大学生命科学教科書編集委員会編(羊土社,2008年)の引用から。
私たちホモ・サピエンスがどのようにして生まれたかについては,2つのモデルが提唱された。1つは多地域進化説で,今から600万年前にアフリカに誕生した原始人類が180万年前頃(ホモ・エレクトスと呼ばれている)に中東を通ってユーラシアに拡散し,ジャワ原人がオーストラリア先住民(アボリジニ)に,北京原人が東アジア人に,ネアンデルタール人がクロマニョン人になり,現在のヨーロッパ人になったとする説である。もう1つはアフリカ起源説で,現在の地球上に住むすべての人の祖先は15〜20万年前にアフリカにいて,そこから世界中に広まったという考えである。現在ではDNAの解析により後者の方が正しいと信じられている。(P.14)
この中で,疑問に思うことは2つある。1つは,この2つの説の科学的考察がないということ。DNAの解析というだけで,実際に,どんな証明なのかわからない。まずは,この2つの説をさまざまな視点から検証すべきではないか。
わたしには,多地域進化説は,現在の人類が同じ種であるという事実との整合性がないと思えてしまう。それぞれに進化して,同じ種が生まれたとは考えにくい。それぞれに進化しながら混じり合ったとでも言うのだろうか。
もう1つの疑問は,「…正しいと信じられている」という最後の文だ。さまざまな証拠から,それが支持されているのではなく,DNAの解析という1つの証拠により「信じられている」という表現は,科学の文とは思えない。
まったくの素人の戯言ではあるが,何とも気になってしかたがない。