おまえは死んだんだ!?

 きょうは午後から父親の病院へ。いつも通り,拘束されている手のひもをほどくと,自由になって満足し,気持ちが落ち着くと言って,静かに横になっている。
 ただ,言うことは荒唐無稽だ。兄と妹が死んだと悲しむ。おれなんか,どうせ何にもできないので,死んだ方がいいのにとも。なかなか泣かせることを言うが,もちろん,兄も妹も生きている。
 兄も妹も生きていることを伝えようとするが,信じようとしない。それなら電話をかけろと言う。病室ではかけられないというと,公衆電話まで連れて行けと。おまえは信じられないから,自分で電話すると声が大きくなる。さらに,ベッドの柵をもって起きあがろうとして,ベッドから落ちそうになる。
 どんどんエスカレートし,栄養を入れているチューブをぬこうと引っ張ったり,足で布団をはね除けたり。手で押さえようとしても,かなりの力があり,こちらが手が痛くなってくる。
 最後には,おまえも死んだんだという始末。ここにいるぼくが,どうして死んでいるのと聞いても,おまえなんか信じられないと,もうめちゃくちゃ。どうも,夢と現実が交錯しているようだ。
 暴れて疲れたのか,午後6時ごろには少しおとなしくなる。わたしも疲れてきたので,病院をあとにした。あすからまた忙しい毎日。今週は体調に気をつけて,しっかりと仕事をこなしていこう。