女房の自転車盗難騒動

私が千葉に出張に行ったときなので,8月27日(土曜)のこと。女房が午前に出かけようと思ったら自宅にとめてあったはずの自転車がない。アシスト付でリチウムイオン電池のタイプ。買った当時はそれなりに高かった。

メールでそのことが千葉にいる私に届いた。カギをかけて敷地内にとめてあった自転車が盗まれた? なかなかあり得ないことだ。カギをかけるとハンドルも固定される。アシスト付自転車なので,ある程度の重量もある。トラックにでも乗せていかないかぎり,盗み出すことはむずかしいのではないか。

ところが,女房によると,その日の朝に庭の植物に水をやるときにはあったと。そこから推定するに,午前9時から10時ごろまでに盗まれたことになる。そんな時間帯に,カギがかかってハンドルが曲がったまま動かず,しかも重い自転車をよその家から盗み出すことが可能なのだろうか。

念のため,前日の行動を思い出して,行った先々で置き忘れていないか,女房がチェックした。近くのスーパーは息子も確認し,コンビニは娘も確認した。それでも自転車は見つからなかったという。

その日のうちに,女房は交番に届けを出した。

出張から戻り,詳しい話を聞いたが,上記の通り,簡単に盗まれるものとは思えない。きっとどこかに置き忘れているのだろう。私にはそのようにしか思えない。そうでなければ,こんな大胆な盗難は,窃盗団の仕業に違いない。

本当に置き忘れているのでないのなら,わが家は窃盗団にねらわれているのではないか。そのような不安がおこってきた。二重,三重のロックを徹底するように,家族に伝えた。

その日からは不便な毎日だっただろう。盗まれた自転車が戻ってくるとは思えないので,8月31日の夜には,今度の日曜日に自転車を買うことを決意した。

ところが,9月1日に女房が近所のコンビニに自転車を発見。ちゃんとカギがかけてあった。家にあるカギを使って無事に自転車は戻った。

女房の話によれば,コンビニは近いので自転車には乗っていかない。だからコンビニに自転車があるのはおかしいと。でも,自転車がなくなった前日,自転車で出かけた帰りにそのコンビニに寄ったとしたら。自転車に乗っていかないと言い切るわけだから,自転車に乗らずに帰ってしまうこともあり得る。

いや,女房の場合,そんなことはふつうにある。「サザエさーんはゆかいだね〜」を実践しているのだから。スーパーのレジに買ったものを預けて,財布をとりに家に戻ったこともある。またスーパーで,自分のカートをどこかに置いたまま,人のカートで買い物をしていたことも。

自転車を置き忘れるくらいのことは,驚くことではない。だから,女房から,コンビニに自転車があったと聞いたときには,やっぱりと言う思いと,窃盗団から解放された安堵から,私は笑いが止まらなかった。

ただ,盗まれたと思った日に,コンビニを確認していたはずなのにどうして気がつかなかったのか。しかも,娘も見に行っているらしい。ここのところは謎だが,娘も女房の血をひいていて,二人しかチェックしていないところがかなりあやしい。

自転車がなくなった当日の朝,女房が自転車を見たという証言も,自転車をコンビニに前の日に置き忘れたという推測に矛盾する。でも,女房の見たというのも,コンビニになかったということと同等に不確かなことだ。

あるものがなかったり,ないものがあったり。実際の事件の証言も,こんなものなのだろう。目撃証言はなかなかあやしいものだとしみじみ思った。

女房は自転車が出てきて満足しているのか,なぜコンビニに自転車があったのかについて,深く追究しないようす。私は,十中八九,女房が置き忘れたと思っている。まあ,女房もその可能性があるからこそ,この件には触れないようにしているのかもしれない。

これが女房の自転車盗難(置き忘れ?)事件の記録である。