ジャーナリズム崩壊

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

このところずっと,テレビを見ていても,同じような番組ばかり。ニュースでも,もっと違った視点もあるだろうと,素人目にも思えるのに,どのチャンネルも同じような報道。
マスコミは優良大企業で,その社員はいわゆるエリート。官僚化した組織の中で,上を見て仕事をしていたら,新しい世界はなかなか開けないのだろう。
市民の見方とばかりに,攻撃的な発言をするもの。その対象は,多くの場合にいわゆる大物ではなく,たたいても自分は痛まない相手。また,激しく感情的なだけで,計算された質問ではないため,そのやりとりからは新たなものは生まれない。
同様に,大物政治家などへの質問は,当たり障りのないものばかり。「なぜそこを聞かない」と思わず声をあげたくなる。また,どこの記者だろうが変わりがなく,まったくつまらない。
もちろん,マスコミ企業によって,主義主張の違いがあり,記事の内容も異なる。しかし,ニュースソースが共通で,展開の論理も単純という点では,報道機関としての独自性があるとは言えないのではないか。
記者クラブの問題は,田中長野県知事のときに知った。ふつうにテレビを見たり,新聞を読んでいたのでは,その詳細はわからない。この本は多くの情報を与えてくれたが,これい対する反論など,双方の意見をまとめて読んでみたいものだ。
立法,司法,行政の三権だけでなく,それらを見張はる役割も重要だと思う。だから,四権目として,ジャーナリズムの存在は大変重要だと思う。ジャーナリストは,その権利を行使する代表としての自覚をち,問題点をえぐり出していくという気概を持って欲しい。
また,巨大化したマスコミ組織は,先の三権との独立の道をはっきりと示し,監視者としての役割を果たして欲しい。自らの見直しと環境の再整備について,そろそろ真剣に考えないと,現在のマスコミの繁栄は,いつか終わるときが来ると思う。