
分子進化のほぼ中立説―偶然と淘汰の進化モデル (ブルーバックス)
- 作者: 太田朋子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/21
- メディア: 新書
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分子進化中立説の権威である木村資生とともに研究をしてきた著者の本。発売予告を聞いたときから楽しみにしていた。しかし,手にとって読んでみて失望した。わたしにとっては,非常にわかりにくい本だった。もちろん,わたしの力不足が原因なのだが,それにしても,もう少しわかりやすい内容にできなかったのか。
もともとの内容の難しさのあるのだろうか。わたしは,高校生物程度の知識はあると思っていたのだが,通勤途中で読むには骨が折れた。すぐにあきらめてしまい,深く意味を考えながら読むことを断念した。
わたしには,文章のわかりにくさも気になった。難しい内容だからこそ,わかりやすい表現に努めるべきではないか。一方的に講義する大学のつまらない授業を思い出すような,相手の理解を無視した記述と感じるのはわたしだけだろうか。そして,いったいどのような読者を想定しているのか。
内容の難しさは,編集者も気づいたのか,非常に多くの用語解説を追加してあった。良心的であるとは思ったが,これで理解ができれば苦労しない。人によっては,用語解説を読むだけでいやになるのではないか。
この本をしっかり読み込んで,リライトしたくなった。以前にそのように感じた本が何冊かある。魅力ある企画だからこそ,そこまで思ってしまうのだろう。いっそのこと,著者の話や走り書きをもとに,ライターに書かせた方がよかったのかも。
ブルーバックスだから,好き者が読む。また,この著者だったら,ある程度の売り上げは見込める。そう言った穿った見方までしてしまうほど,わたしには残念な本だ。