- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/07
- メディア: 新書
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わたしはネットもよく使うが,ニュースは新聞やテレビが中心だ。その新聞やテレビが消滅しては困る。
この本の指摘のように,新聞やテレビのビジネスモデルは成り立ちにくくなっているのかもしれない。巨大化したマスコミは,時代の変化に対応する能力に欠けている。
またそこに,日本独自の問題,記者クラブの存在,マスコミと広告代理店の関係などがからむ。わたしは,新聞やテレビにジャーナリズムを期待しているが,このような日本の問題は,ジャーナリズムを曲げる元凶にもなっている。
存在価値があっても,存在場所がなければ存続は難しい。大切な存在であるにもかかわらず,その生息場所が奪われつつある。絶滅危惧種のようなものだ。環境や生態の保全を唱えるように,わたしはこれらの対策も必要なのではないかと思う。
産業をささえるものづくりのノウハウ,子どもや高齢者を大切にするしくみなど,いま失いかけていることは多いと思う。単純な競争主義も危機へと加速するように思う。目先の利益を追求していたら,もっと先はなくなっていた。このような不安は,わたしのような素人にも感じられる。これらについて,真剣に考え,フォローする政治家が現れないかと思う。
時代とともに,世の中が変わっていくことも確かだ。その変化に適応したものが生き残るのも自然。でも,ニッチのない世界になりつつあるように思う。怪物のような存在が世界を制して,隠れ場所のない小動物は生きる場を失い,結局は怪物もいつかは滅ぶ。そのようなことにならなければよいのだが。
話がこの本からかなり外れてしまった。この本はといえば,ざっと読んで,過去と現在のメディアの実態を知るのには便利だ。ただ,ある程度の知識のある人にとっては,かったるくて役には立たないだろうと思う。やや乱造という印象の本。