目先の5mで行動が決まる?

休日には犬を散歩に連れて行く。犬の行動を観察して,こんなことを考えるようになった。目先5m程度の情報で,犬は自分の行動を決めているのではないかと。
散歩はほぼ同じコースになるが,ときどき微妙に異なる。また,まれに大きく異なることも。ただ,異なるきっかけは,一瞬の出来事のようにも思う。そのとき,別の犬のにおいがしたとか。

結果を予測して,犬が自分の行動を決めているとは思えない。これは偏見なのか。でも,えさを与えたり,散歩に連れて行ったりするとき,一瞬でも待てないようす,いま我慢すれば,のちに大きな利益がある状況の無理解に閉口する。もう少しわかってくれればと。
散歩時の行動も,そのときどきに入る情報に大きく左右されているようだ。観察を続けていると,その反応を多少は予想もできる。多くは他の犬のにおいのようにも思う。ただ,単に水でぬれている地面をいつまでもチェックしているようすを見ると,視覚も無視できない。
ほとんどの動物がこのように行動しているのだろう。人は,先のことを予想して行動できる。犬を連れて散歩しながら,戻ってから何をしようかとか,夕食は何だろうかと考えている。10年前の同じ場所のことを思い出し,10年後はどうなっているのだろうかと空想することもある。

犬に対して,そのような優越感に浸りながらも,もしかすると,そのようなことは,実はわずかな違いなのではないかと思うこともある。わたしが犬に引かれながら歩いている行動だって,犬に引かれているその瞬間の反応の結果。人や自転車,自動車などとすれ違う,その瞬間瞬間で,過去の経験にもとづいてはいるが,未来を予想して行動しているとは言い難い。
そもそも,生物の進化だって,そのときどきの状況に対する反応の積み重ねでしかなかったのではないか。犬に引かれながら歩き,そんなことを考えていると,そのときどきの反応が鈍くなり危険だ。人はときとして,安全への配慮を欠いた行動をするようだ。