おうどいろ

子どものころ,色鉛筆だったか,絵の具だったか,「おうどいろ」と書かれたものがあった。不思議な響きの名称で,何となくひかれた。「きいろ」や「やまぶきいろ」とは違い,少し鈍い色合いが,「おうどいろ」という音の感じに合っていた。

大人になって,「おうどいろ」が「黄土色」であることを知った。これは興ざめだった。そうだったのか,と思う反面,不思議な響きの鈍い色は,身近で陳腐な色となった。