
まず歩きだそう―女性物理学者として生きる (岩波ジュニア新書)
- 作者: 米沢富美子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 新書
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若い女性のロールモデルと著者は言う。しかし,若くもなければ,女性でもないものが言うのも気がひけるが,この著者のような生き方をめざすものはそうはいない。著者は,努力だけではなしえない才能に長けた人だと思うから。
研究だけでなく,夫を追ってイギリスに行くためのすさまじい行動力。また,アメリカに渡って自動車で長距離移動したり,子育てで苦しいときには一層頑張って論文を書いたりと,驚くばかりのパワー。夫のことばは,わたしにはかなり冷たいように思えたが,それで思い直すところも半端ではない。
だからまねなどできない。この本を読んでいたときには,成功者だから言えることのように思っていた。すばらしい才能と,それに勝る努力は認めるが,それは特別なことと。
でも,しばらくしたら,そのようなロールモデルもあっていいように思えてきた。もっといろいろあっていいはずだと。
スポーツの世界にはスターがたくさんいる。誰もがなれるわけではないが,あこがれて熱中する。学問の世界にも,そのようなものが必要だと思っていた。物理屋になれなかった老人,才能のなかったもののねたみが,それを批判してはいけない。希望ある若い人たちが,イチローを夢見るように,読んで欲しいものだ。