野生桜 遺伝子の乱れ

朝日新聞2月2日の夕刊に,野生のサクラとソメイヨシノが交雑しているという記事があった。この研究の報告そのものを読んでいないので,詳細はよくわからない。でも,このようなことが起こるのは,予想していたのではないか。

ソメイヨシノは不稔性だが,他のサクラの花粉が受粉することで,種子(果実)ができることがあると聞いた。でも,その種子は育たないとも。その逆に,ソメイヨシノの花粉が,他のサクラに受粉して種子ができるのが今回の話か。

ソメイヨシノの遺伝子を受け継いだ野生のサクラは育つのか。育つなら,人が持ち込んだ遺伝子が混じることになる。育たないなら,「遺伝子の乱れ」など起こらない。いままで通りの受粉で殖えることができるのでは。それとも,育たない種子ばかりができて,本来の種が継続できないのか。このあたりのことがよくわからない。

そもそも人がかけ合わせてつくった品種を,これほどまでにあちこちに植えれば,不自然な交雑が起こるのは当然だろう。それとも,ソメイヨシノの花粉は,他のサクラに受粉することはないと思われていたのか。いや,そのようなことは何も考えず,花見がしたくて植え続けたのか。

街路樹には,イチョウやトウカエデなど,人が遠方から運んで植えたものがほとんどだろう。都会には,野生の木などはほとんどないし,特別の木なら,在来種との交雑もないと考えたのか。花壇に植えた観賞用の植物はどうなるのか。さらに,野菜や米など,食用の植物はどうなるのか。

新聞にはセンセーショナルな見出し。サクラのことになると,ついつい力が入るようだが,このニュースの言いたいこと,この研究の意義など,考えていたら何だかよくわからなくなった。