- 作者: 新井紀子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
- 購入: 76人 クリック: 826回
- この商品を含むブログ (58件) を見る
そんなことを数や関数,図形などの例をあげながら語る。数名のキャラクタの掛け合いを交え,わかりやすさにも配慮している。それぞれの話題の展開は,わたしには大変興味深く,おもしろくて一気に読んだ。
この本のよさは,役に立つではなく,数学とは何かをきちんと語っているところだと思う。最近,役に立たないものはなかなか受け入れられない。だから,数学も役に立つということを理由に,数学の必要性を説く本もある。
しかし,数学を苦手としているものがこの本を読み,どのように思うのだろうか。そもそもこの本を読むのだろうか。一見読みやすそうに見えるこの本でも,数学を毛嫌いする人,またそれがふつうのように語られる世の中で,どれだけ受け入れられるのだろうか。
この本を読んで,数学とはどんな学問かを知ったり,数学に興味をもつようになるのは,現実には少数なのかもしれない。やはり学校での数学のありようが,最も大切なのではないかと思う。
この本を読んで楽しいと感じるほど,数学好きどうしが特殊な演出を楽しんでいるだけに思えてしまう。こんなわたしは素直ではないのかもしれない。