- 作者: 矢田純一
- 出版社/メーカー: 裳華房
- 発売日: 2001/02/01
- メディア: 単行本
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いつも通り,印象に残った内容を記録しておく。
好中球にはFcレセプターがある。抗原に結合していない抗体を,Fcレセプターで捕獲してしまったのでは,抗体の働きを妨害するので,好中球のFcレセプターは,抗原に結合した抗体のFc部をつかまえる。そして,そのもとにいる異物を食作用で分解する。
ヘルパーT細胞には,Th1細胞とTh2細胞の2種類がある。Th1細胞は,インターフェロンγやIL-2を放出し,おもにキラーT細胞に働きかける。 Th2細胞は,IL-4やIL-10を放出し,おもにB細胞に働きかける。そして,Th1細胞とTh2細胞は互いに牽制し合っている。
好中球はIgGのFcレセプターを,マスト細胞はIgEのFcレセプターをもっている。マスト細胞のFcレセプターは,IgEが抗原と結合していなくても,IgEのFc部をつかまえる。なお,好塩基球はマスト細胞に似ていて,IgEのFcレセプターをもっている。
多数の抗原と抗体が結合して免疫複合体をつくり,それがさまざまな臓器に沈着する。好中球は,免疫複合体の抗体にもくっつくが,食作用ができないので,殺菌物質やタンパク質分解酵素を放出する。これらの物質により,その臓器の組織に破壊される。
ここまで書いて思いだした。わたしは小学3年のときに腎炎で入院した。腎炎になる前に,扁桃腺が腫れて熱を出した。それまでにも何度となく感染症で熱を出していた。細菌が腎臓に感染したと思っていたが,ほんとうは急性糸球体腎炎だったのかもしれない。
なお,そのときリウマチ熱とも診断された。でも,リウマチ熱はリウマチとはまったく異なる病気だと聞いた。調べたはずなのに,もう忘れてしまった。
IgEが起こすアレルギーは,数分から数十分で反応があり,即時型アレルギーという。T細胞がもたらす炎症は,1〜2日たってからピークになる。これを遅延型アレルギーという。ツベルクリン反応は遅延型アレルギー。
アドレナリンはマスト細胞内のcAMPを増やし,化学物質の放出を抑える働きがある。また,神経細胞終端から放出される神経ペプチドの中には,マスト細胞を活性化させるものもある。したがって,ストレスなどによって,マスト細胞の働きに影響が出る可能性がある。
アドレナリンは,Th1細胞の働きを抑えるが,Th2細胞は影響を受けない。したがって,精神的ストレスによって,アドレナリンの量が多くなると,Th2細胞の働きの方が有利になり,アレルギーが起こりやすくなると考えられる。
マスト細胞が刺激されるとIL-4も放出する。これはIgE抗体を産生するB細胞を活性化する。したがって,何かでアレルギーが起こると,他のアレルギー反応も起こりやすくなる。
ロイコトリエンはリノール酸を原料にし,アラキドン酸をへてつくられる。獣肉や穀物などの脂肪は,リノール酸を多く含むので,これらをとりすぎると,ロイコトリエンがつくられやすくなる。
リノレン酸はロイコトリエンをつくるのを抑える作用がある。リノレン酸は,魚や根菜,葉菜の脂肪に多く含まれている。
アスピリンは,プロスタグランジンの生成を抑えることによって,炎症や痛みを和らげる効果を出す。プロスタグランジンもロイコトリエンもアラキドン酸からつくられる。アスピリンによって,プロスタグランジンの生成が抑制されると,ロイコトリエンの生成がふえることになる。だから,アスピリンを飲むと喘息の発作が起こる人がいる。
ここで思いついた。インフルエンザにかかっているとき,アスピリンを服用すると,特に小さい子どもで,インフルエンザ脳症を起こす。この発症のしくみにも関係しているのだろうか。
蚊に刺されたとき,すぐに腫れるのは即時型アレルギー反応。虫に刺された後,翌日くらいにかたく腫れて,水疱などを生じるのは,遅延型アレルギー反応。
ここでまた一言。わたしは6月くらいに毎年,虫さされによる遅延型アレルギー反応を起こす。この6月以外にもあるのだが,6月が特に目立つ。この虫さされによる炎症は,かなり長く続き,ときには半年たっても痒みが復活することがある。
物質がからだに入ってから変化して,それに反応してアレルギーを起こすこともある。このような場合は,アレルゲンの特定に注意が必要である。
アレルゲンを皮下注射する。その量は微量からはじめて徐々に多くしていくと,アレルギーがおさまることがある。これが減感作療法。皮下に微量注射することで,IgG抗体がつくられる。IgG抗体の割合が増せば,抗原が入ってきても,IgGと結合してしまい,IgEとの結合が減る。これによりアレルギー症状が緩和される。このときのIgGは遮断抗体と言われる。ただ,治療法は効果的な場合と,そうではない場合とがある。
腸は栄養をとりこむ働きをしているので,侵入してくる微生物に対する免疫は活発だが,物質に対する免疫反応は抑えられている。そのように抑制的な作用をするT細胞(Tr1,Th3)が全身をめぐるようになると,その抗原に対する免疫寛容ができる。
アレルゲンを経口投与することで,このような状態をつくりあげ,アレルギーを抑える治療法がある。また,うるし職人がうるしをなめることで,うるしアレルギーになるのを防いでいるのも,このような機序によるものと思われる。