万年筆

万年筆を買った。万年筆といえば,高価な筆記具というのが,わたしのイメージである。また,ボールペン,特に最近の水性ボールペンの書き味を知ってしまうと,方向性があり,キャップを開けたままにして,考えることのできない万年筆は,もう戻ることのできない筆記具であった。
高校時代は,モンブランの万年筆を使っていた。ペン軸の後部を回転させて,ボトルからインクを吸い上げるタイプで,なかなか古風でよかった。もちろん,書き味もよかった。その後,別のモンブランやパーカー,シェーファーなども買ったが,いちばん使ったのは,この最初のモンブランだった。インクを吸い上げるところが壊れて,もう使えなくなっている。
大学時代には,カジュアルな万年筆が,数百円くらいで売られるようになった。透明でカラフルなプラスチック製ペン軸と,ステンレス製のペン先でできている。カートリッジインクを使っていて,ほんとうに手軽に万年筆が使えるようになった。書き味もまあまあよいもので,モンブランやパーカーなどとこだわっていたにもかかわらず,わたしはすぐにこの廉価な万年筆に飛びついた。
ちょうど,そのようなイメージの万年筆を店で見かけて,つい買ってしまった。小型のもので,いろいろな色がそろっていた。軸の色と,セットされているインクの色が合わせてあるようだ。わたしは最近ブルーブラックにこっているので,ブルーブラックを予備のカートリッジとともに買った。ほんとうは別の色にし,ペンを洗浄して入れ替えてもよかったのだが,おじさんがあまり派手な色の筆記具を使うのも気がひけるし,こんなものにそれだけ時間をかけるのもばかばかしい。


大学時代に買った廉価版万年筆は,10年ほど使わずに忘れていた。ふと見つけてキャップをとると,インクが干からび,ペン先がさびついてしまっていた。モンブランやパーカー,シェーファーは,インクは同じように乾いていたが,ペン先などは健在だった。10倍以上の価格の差が,このようなところにもあるのだろう。
ただ,現在100円程度で売っている水性ボールペンは,今のところどんな筆記具より,わたしはよいと思っている。最近はゼブラSarasaを使っている。ひっかかりが少なく,ブルーブラックがあることが決め手だ。ほんとうは水性ボールペンのパイオニアである“ぺんてる”をもっと試してみたい。