救急車で運ばれる

今週は体調が悪かった。土曜日から,よく咳が出るようになっていた。日曜日の夜には,のどが少し痛み出した。よく月曜日に体調をくずす。また月曜に休むのも何だか癪だ。変なところで意地をはってしまう。月曜日は出社し,定時まで頑張った。

無理したためか,その夜から熱が高くなり出した。翌日,火曜日には38度を超えた。もう休むしかない。気力も失せて布団の中。その日の夜,人と会う約束があった。そのための材料は,月曜日に準備して持ち帰っている。しかし,夕方になるほどに状態は悪くなる。電話してキャンセルする。
夜,娘も風邪気味で医者に行くという。それならと,一緒に車で医者へ。4月3日にも風邪で診察を受けた医者だ。その後,しばらくよくなったがまた再発。こんどは薬を変えましょうと抗生物質を追加。大して診察もせず,風邪と決めつけて薬を出す。安易な医者だが多くはこんなものだ。それに,おおかたは当たっている。ついでに花粉症の薬も出してもらう。

水曜の朝も熱があったため,こんどは無理しないで休むことに。仕事の材料も持ち帰っているので,体調がよくなったら家で仕事をすればよい。そう思っていたのだが,なかなか起きられない。熱は午後から下がっていた。でも,布団からは出ることができなかった。
翌日,木曜日には朝一番に人と会う約束がある。休むわけにはいかないので,夕食後,またすぐに横になりからだを休めていた。うとうとしていたら,9時頃から激しい腹痛が襲う。下痢だ。30分くらい苦しんだが,ある程度出てしまえば楽になる。9時半頃にはまた布団の中でうとうとしていた。

そこに突然やってきた。急に目が覚めたかと思ったら,全身がぶるぶるっと激しくふるえる。何だ,と思っていたら,またぶるぶるっがやってきた。2,3回ふるったあと,とてつもない寒気がおそう。激しいふるえの周期は短くなり,やがて連続的になる。寒気は全身をおそい,何か温かいものでも飲まなくてはたまらない気分だ。
わけがわからないまま,女房を呼んだ。とにかく寒い。からだのふるえも止まらない。熱いお茶が飲みたい。これだけを伝えて,ただ小さくなって激しくふるえていた。すぐに女房がお茶を持ってきたが,ふるえて飲めない。飲ませてもらいながら,まず1杯を飲む。まだ寒い。たまらなく寒い。2杯目のお茶を飲みながら,これはただごとでないと思いはじめた。何だかお茶の味も異様である。
横を向いたり,うつ伏せになったりしながら,とにかく寒さをこらえるのと,激しいふるえに,どうなってしまうのだろうかと不安になってきた。血の気が引いて,唇まで白くなったわたしを見て,先日亡くなった自分の父親を思い出したという。救急車を呼ぼうか,と女房が言った。最初,わたしは否定し,また苦しむ。もう一度聞かれたときは,うなずくしかなかった。

救急車を呼んだからには早く来て欲しい。勝手なものだ。数分できたのだろうが,その間もとてつもない寒さと激しいふるえに苦しんでいた。救急隊が部屋に入ってきたときは,少しはおさまってきていたが,寒気とふるえはまだひどかった。いくつか質問を受けたあと,階段を降りられますかと聞かれ,起きあがろうとした。だが,力がでない。立ち上がるどころか,からだを起こすことすらできなかった。
布の担架にわたしをのせて,救急隊員3人が2階から救急車まで運び出した。はじめて救急車の寝台に横になった。まだからだはふるえているが,それほどひどいものではなくなっていた。寒気も少しおさまってきた。
熱をはかる。39.5度。急激な発熱で,寒気とふるえがおそったのだろう。でも,治りかけていたのに,どうしていまこのような高熱を出すのか。血圧をはかる。上が100程度。隊員は低いのではと心配そうだったので,いつも上が100程度だと伝えた。いままでにかかった大きな病気はと聞かれ,心臓に異音があることと,心電図に完全右脚ブロックの所見があることを伝えたら,すぐに心電図の電極を胸につけてくれた。
※次の写真は,わたしの胸に残っていた電極の1つです。

さすがに救急車は何でも出てくる。少し落ち着いてきたので,車内を見回すと,天井までにも何かがかくされているようなふたがたくさんある。

車で10分くらいにある大きな病院を希望すると,すぐに連絡をとってくれたが,病院からことわられた。もうどこでもよい。おまかせにしたら,家から通りをはさんで反対側にある病院へ連れて行かれた。
そこで脇の下と股間を冷やし,鼻の奥の粘液と血液が検査にまわされた。鼻の粘液はインフルエンザの検査で,それはマイナスだった。いまごろインフルエンザはまずないが,念のためという。血液検査は,何か悪い病気がないかをチェックするためという。こちらはこの病院では検査ができず,関連病院に血液を渡して結果待ち。待っている間に,39度あった熱は38度前半にまで下がってくる。
はじめは入院とも言っていたが,熱が下がってきたのと,肺炎の兆候がないため,血液検査次第になる。12時過ぎに戻ってきた血液検査の結果は,それほど悪いものではなかった。解熱剤の座薬を入れられ,落ち着いたら自宅待機と言われる。

入院させてもらえないなら,もう早く帰りたい。わたしも身勝手なものだ。午前1時にタクシーを呼び,通りをはさんで反対側にある自宅に戻る。タクシーの運転手は,行き先を告げるまでは親切そうな口調だったが,1メーターに満たない目と鼻の先だとわかると,口数も少なくなった。
家に着いてから,2階の寝室まで歩いた。まだしっかりとは歩けない。慎重に歩かないとふらついてしまう。自分の床につき,何だかホッとする。
いったいこの数時間に何が起こったのだろうか。

翌朝,つまりきょうの朝は熱は36.8度。わたしにしては高い方だが,まあ平熱。きょうは1日大事をとって休むことに。昨夜のからだの急激な変化は,いったい何だったんだろうか。医者からは,風邪の病原体がからだのどこかで炎症を起こしたのだろうと言われているが,それにしても急激な変化だった。