地球科学の本を読んでいると,ときどきいらだつ。専門的な書物であっても,その展開や文章表現が科学の本らしくない。一般書に至っては,科学の本とは思えないものにも出会う。
その内容を知りたいものにとっては,ある程度は体系化され,論理的な展開を期待している。また,内容の理解が大切だから,表現はできるだけ平易なものがよいと思う。ところが,著者の思い入れが強い展開で,なかなか知りたいところにたどり着かないことが多い。また,やたら難しい表現が出てきたかと思うと,急に親しげなことば使いになったり,叙情的な表現が出てきたりするなど,読んでいても落ち着かない。
用語が多いのも気になる。用語と言えるほどのものではないのかもしれない。その意味はおよそつかむことができるものも多い。しかし,ほぼ同じ対象に対して,視点が異なるたびに呼び方を変えたり,あえてことばをつくらなくても,そのまま説明すればよいものに,妙な造語をあてるなど,かえって混乱するだけではないか。
用語の微妙な違いに,何か意味があるのではないかと悩み,本来知りたいところになかなか行き着けないいらだちを感じる。
地球科学の研究にロマンを感じている人には,このような悩みはないのだろう。体系化された科学ではないところにも,この分野の魅力があるのだとも思う。しかし,多くの人たち対して,わかりやすい説明をすることを怠れば,その科学は廃れることになるのではないだろうか。