やり直しのできないタッチ

通勤定期券は非接触ICカードのマナカを使っている。財布の中には,スイカや運転免許証が入っていて,重ねてマナカを入れると,それらが干渉してうまく機能しない。

でも,二つ折りの財布の片側にマナカ,別の側にスイカと運転免許証を入れておき,財布を開いてマナカ側でタッチすることでクリアした。これで問題なく毎日通っていた。東京に行ったときは,マナカとスイカを入れ替えて,スイカも問題なく使えていた。

ところが,昨日の帰りの市バスで,いつものようにタッチしたらエラーが。財布の開き具合が悪かったのだろうか。もう一度タッチしようとしたら運転手に制止された。「カードが重なっています。マナカを取り出してタッチしてください。」と。だから,今度は大丈夫だからぁ,とこりずにタッチしようとしたら,また制止された。

えっ,やり直しが許されないの。今度はうまくタッチするから,お願いです,もう一度だけチャンスをください。もう一度だけでいいから。と心でつぶやきながらも,素直なわたしはマナカを取り出してタッチし,無事にバスに乗り込んだ。

負けた。一度きりのタッチに失敗した悔しさ。こっちとらぁ,ずっと前からスイカを使っているんだぞ。ちょっとした油断から何でこんな挫折感を味あわなくてはならないのか。やり直しをさせてくれれば,きっとうまく「ピッ」とやったはずだったのに。

こんなところにも,やり直しのできない息苦しい世界があるとは。いったい日本はどこへ行く。