年金式生保に所得税は二重課税

年金式の生命保険で,年金にかかる所得税は,二重課税にあたるという最高裁判決があった。

まずは,保険金に相続税がかかることをはじめて知った。契約者が被相続人である場合,払い込んだ割合に応じて,相続財産とみなされるらしい。そして,保険金がすべて一時金の場合,保険金の支払いに対して,相続税がかかることになる。

しかし,保険金の一部が,年金として,その後何年かに分けて支払われるとき,今回の問題は起こる。保険金額全体に相続税を課し,その後の年金に所得税がかかっていたらしく,これは所得税法9条「相続により取得する財産には所得税を課さない」に反することになる。

いままで,同様の課税がかなりの件数におよぶらしいので,これからどうなっていくのか大変だ。

でも,どうしてこのようなことが起こっていたのだろうか。税を徴収する側が,安易であったのではないかと疑問に感じる。

わたしが家を買うとき,専業主婦である女房の口座からもお金を下ろし,購入資金に充てようとした。ところが,女房の口座から出したお金で,わたし名義の不動産を買えば,女房からわたしへの贈与となり,税金がかかるらしい。充てようとした女房の預金が,わたしの収入を貯めたものであったとしてもだ。

そう言われるとしかたがない。確かに,このようなことを許すと,これをうまく利用して不正を働くものが出てくるかもしれない。

しばらくして,義父がなくなった。そのとき,専業主婦である義母名義の貯金は,「名義預金」となって義父のものとみなされ,相続の対象になると言われた。確かに,このようなことを許すと,これをうまく利用して不正を働くものが出てくるかもしれない。

でも,一方では妻の預金は妻のものと言って課税しようする。そして,税を徴収する同じ役所が,他方では妻の預金は夫のものと言って課税する。いくら不正を防ぐと言っても,このような整合性のない論理では,なかなか納得がいかない。

不正を防ぎ,きちんと税を徴収すると言いながら,本当は安易に税を得ようとしているだけではないかと疑いたくなる。不正を防ぐ工夫こそ,大切なのではないかと。

いま増税が話題になっている。選挙前に増税を論点にあげることが評価したい。選挙前は何も言わず,あとになってにわかに増税するのははっきり言って詐欺まがいだ。

でも,増税を話題にしたらそれでよいわけでもない。平等な税制とは何か,理屈の通った税制とは何か。その道のプロなら,安直な逃げで頭ごなしに徴収するのではなく,皆が納得できるしくみにして欲しいものだ。

税を無駄に使わないことはもちろん言うまでもないことで,無駄にしていると感じたら,理屈の通った増税にはならないのだから。