やぶにらみ科学論

やぶにらみ科学論 (ちくま新書)

やぶにらみ科学論 (ちくま新書)

この人の本を読むと,少し考え方が変わるようになる。当たり前と思っていることが,そのように思えなくなる。視点が変わったり広がったりするのだろう。

この人の考えに賛同するわけではない。どちらかといえば,批判したくなることが多い。でも,違う視点を知ることで,いままでとは違った考え方で,ものごとを見るようになる。一方にふられた振り子を,まったく逆方向に振ってみる。それを繰り返すことによって,全体をつかむことができるのだろう。

理科離れや自然保護,地球温暖化など,ふだん世の中で騒がれていることと,少々異なった展開が新鮮だ。やや乱暴な内容は,振り子を逆に振ろうとしているのだろう。著者は違うと言うかもしれないが,わたしはそう思う。どのように読み,どのように感じようが,読者の勝手というものだ。これについては,著者もきっと文句は言わないだろう。