優性の法則は法則ではない?

まずは,雑誌からの引用。

国際的に見ると「分離の法則」(Law of Segregation)は現在も法
則として認められ海外の教科書にも記載されている。一方,日本で
慣れ親しんできた「優性の法則」は法則(Law)扱いされないよう
になってきていて,海外の教科書には記載されないようになってき
ていることにも注意したい。
中等教育資料」2009年7月P.77

いったい,何を注意しろと言うのか。理由を明らかにせず,ただ注意しろと言うのはいただけない。著者にしてみれば,明らかすぎて書けなかったのかもしれないが,これでは,海外に合わせるということでしかない。

きちんと説明をしようと思えば,今度は誌面が足りないと言うこともあろう。文句を言うのは簡単だが,うまくまとめるのは骨が折れる。

では,なぜ優性の法則は法則扱いされないのか。実際には,中間の形質が現れる場合も多いから。また,表面上の形質ではなく,その遺伝子がつくるタンパク質の量などを計測すれば,遺伝子の量の差が生じるのは明らか。つまり,もっとミクロな視点で見れば,この法則は成り立っていない。

このように考えれば,優性の法則を法則をよぶのに抵抗が生まれる。こんなことから,優性の法則はこれから徐々に消えていくものと思われる。