母が転倒で骨折し入院(1)

女房の母が転倒して骨折。緊急入院,手術の経緯を記録しておこう。なお,時間については,曖昧なものには「ごろ」とつけた。

18:00ごろ
母からわが家に電話。転倒して鼻血が止まらないと。女房と二人で,すぐに母の家に。母の家は歩いて2分足らずのところ。母は,血のついたタオルで鼻をおさえ,足を床に付けたまま,ベッドに上向きになって横たわっていた。意識ははっきりしている。転倒したときに手をついたため,右手首がひどく腫れている。骨折しているようだ。

病院に連れて行く必要がある。救急車を頼んでもよいほどの状況だが,命に別状がなさそうなのと,自分たちで連れても行ける。また,救急車では,どこの病院になるかもわからない。車で10分くらいの近所の総合病院に電話してみることに。女房が近くの総合病院に電話している間に,わたしは車をとりに自宅へ。

母の家の駐車場に車を入れて部屋にはいると,女房は電話中。救急の患者が多く,骨折手術が翌日にできない。それでもよければ診察をすると。わたしが電話を代わり確認すると,車で20分くらいの別の総合病院にも連絡してはと。いったん電話を切る。

電話した病院は大病院で紹介された病院もそれなりに大きな病院。どちらでも治療には差はないだろう。でも,これから通院することにもなるので近い方がよいと判断して,やはり電話した病院に行くことにした。

18:10ごろ
母と女房を車に乗せ,まずは自宅に寄って,とりあえずの身支度と子どもたちに事情を話す。食事の支度をはじめたところだったがそれも中止。子どもたちには適当に夕食をとるように言って家を出る。

18:30ごろ
病院に到着。救命救急の入り口から入り,母と女房を降ろす。女房も3週間ほど前に足の甲(第5中指骨だと思う)を骨折しており,ギプスもまだとれていない。どちらがけが人かわからないくらいで大変だ。

救命救急の入り口の駐車スペース(5台程度)から,ちょうど1台が出ていき空きができた。すぐにそこに駐車して病院内に。女房が受付をしているところだった。窓口には,「ただいま3時間待ち」と。とにかく人が多い。ふつうの外来診察時間と変わらないようすだ。窓口で番号札を受け取る。その番号が呼ばれるまで待つことになるのだが,状態が悪い場合は,救急治療室の看護師に声をかけるようにと言われる。

救急治療室の看護師に声をかけると,桐灰イカ(使い捨てカイロの逆で,化学反応で冷やすもの)とガーゼを持ってきて,鼻の穴にガーゼをあて,桐灰イカで冷やすように応急の処置を。上を向くと鼻血がのどに流れ,鼻血を多く飲み込むと嘔吐するので,ガーゼにしみこませるようにと。

その状態でしばらく待つことに。自販機でお茶を買うが,ペットボトルの口からは母は飲めない。近くのコンビニまで紙コップを買いに行く。紙コップとサンドイッチを買って戻る。やっとお茶が飲めた。

その後,吐き気が。看護師に言ってトレーを借りて嘔吐。ほとんど血液。鼻血を飲み込んだためだろう。

20:00ごろ
大河ドラマがはじまっていたのでこの時間だろう。母もかなり疲れているようだったので,看護師に声をかけると,救急治療室に案内され,ベッドに横になることができた。すぐに看護師が来て,脈や血圧をモニターするようにセット。脈拍が100,血圧は上が170以上だった。母はこのけがで興奮気味だったので,脈拍も血圧も高くなっているようだ。

20:30ごろ
若い医師がやってきて,身につけている身分証を見せながら,「わたしはKです。わたしが担当します。よろしくお願いします」と。見るからに新米というようす。まずは問診から。母からと,女房やわたしから状況を聞く。それから診察に必要なものと取って来ますと言って離れる。

脈と血圧を測るものを持参して戻ってきたのには驚いた。わたしが見ても,すでにそれらがモニターされていることはわかる。持ってきたものを母に付けようとして,若い医師はやっと気づいたようだ。

その後もいろいろ聞きながら,カルテを書いている。考えながら書いているようで,時間の割には文字が埋まらない。2行ほど書いたところで何文字かを訂正し,ポケットから印鑑を取り出して訂正印を押していた。

医師としてきちんと判断するためには,必要なチェックがあるのはわかる。でも,母を見れば,鼻の付近を殴打して鼻血が出ていることと,手首に衝撃を受けて骨折していることくらい,素人目にも明かだ。

そんな80歳の老人の腕をもって,動かすことができますかと,1秒間に2回くらいのペースで曲げ伸ばし。足のようすを見るのも同様で,母がさらに骨折や脱臼しないかと,制止したくなるほど。

女房とわたしは,顔を見合わせて呆然とするのみ。病院の選択を誤ったのか。わたしは,診察が始まったばかりなのだが,このまま別の病院に連れて行きたくなった。でも,ここであせったり,怒ったりしてはいけない。

そのような問診や診察が続き,若い医師は2,3回ほど出たり戻ったりした。カルテの訂正印も2つになり,4〜5行程度は文字が書けたようだが,いたずらに時間が過ぎていくようでむなしい。その医師は,頭部CTをとると言った。多量の鼻血が出ているのと,転倒して頭を打っている可能性もあるからだろう。でも,手首のレントゲンは? ついにわたしは医師に意見してしまった。

21:30ごろ
1時間もかかったが,何とか,新たな骨折もなく診察がすみ,若い医師は,他の医師に相談してくると離れたときにはホッとしたくらいだ。しばらくして別の医師とともに戻ってきて,その医師に聞きながら,近くの端末でCTとレントゲンの予約をする。順番待ちということで,またしばらく待つことになり,医師は離れていった。