一眼レフカメラ

はじめて一眼レフカメラを手にしたのは15歳のとき。高校入学祝いとして,親に買ってもらったアサヒペンタックスSPだ。中学2年のころから,写真に興味をもちはじめ,それ以来ずっと一眼レフを欲しいと思っていた。

それまで使ったことがあるカメラは,兄と共用だったフジペットと,父に借りたミノルタハイマチック7。フジペットについては,またいつか書きたい。カメラの上部についたファインダーでフレームを決めるだけで,ピント合わせはない。ミノルタハイマチック7は,距離計連動式で,ファインダー内の二重像を合致させるとピントが合う。二眼レフをのぞいた記憶がわずかにあるが,この2台ほどは覚えていない。

写真に興味を持つようになり,入門書を買った。カメラやフィルムの種類,撮影のしかたから,現像・引き伸ばしのことまで書いてあった。わたしは,その本を何度も何度も読んでは,自分がカメラを操作していること,現像や引き伸ばしをしていることをイメージした。

一眼レフカメラでファインダーをのぞき,ピントリングをまわすと,徐々に焦点が合っていく。そんなようすは,想像するだけでワクワクしていた。

左手はレンズを支えるように,右手は,人差し指がシャッターボタン,親指が巻き上げノブを操作できるようにして,カメラを構える。まだないカメラをイメージしながら,両手はすでにカメラがあるかのような形に。見えないカメラを顔の前に構え,ピントを合わせてシャッターを切り,巻き上げてはまた操作する。

そんなイメージトレーニングを2年間重ねて,ついに15歳の3月終わり,一眼レフを手にしたわけだ。イメージトレーニング通り,カメラは手にすっぽりとはまった。ピントリングの操作には違和感はなかったが,巻き上げレバーはかなり重かった。また,シャッターボタンも,イメージよりは深い印象。巻き上げレバーは,ペンタックスSPの特性のようで,その後に買ったミノルタXDはスムーズな感触だった。

さらに感動したのは,シャッターを切ったときの音。フォーカルプレーンシャッターのシャキッという音に,ミラーが上下運動するときの大きな音が混じる。特に,低速シャッターの音は,その余韻も含めて心地よく,何度も空切りしたものだ。