バズワード

きのう,仕事の打ち合わせで,CD-ROMからウェブへ誘導できないか,という話になった。CD-ROMでのサービス提供はコストもかかるし,メンテナンスも難しい。ウェブでのサービス提供なら,材料や流通にかかるコストが,大幅に軽減できる。また,メンテナンスもサーバーで対応すればよいので,こまめな対応も可能になる。

CD-ROMと違って,ウェブでのサービス提供なら,わが社のサーバー上にさまざまな情報も保存でき,顧客はどこから,どんなマシンで接続しても,同じ環境で操作ができる。これこそウェブの強みだ。まさに「クラウド・コンピューティング」だ。

この際だから,「クラウド」だと言って売り込もう。わたしは叫んだ。コンピュータに詳しいものは,「クラウド」というバズワードを好まない。少し前なら「Web2.0」。専門用語のようでいて,定義は勝手気まま。雰囲気だけで人を煽動し,うまく使うと商売になる用語だ。「クラウド」はいまが旬だから,商売に使える。

冗談である。われわれの顧客のどれだけが「クラウド」に魅力を感じるか。かなり疑問である。また,まじめな企業であるわが社には,バズワードは似合わない。

その日の夜,ニュースを見ていたら,アメリカのグリーン・ニューディール政策を研究してすぐにわが国も,という総理のことばが紹介されていた。2代前の総理,といってもたかが2年ほど前の総理のことばを思い出した。日本でもバイオ・エタノール

環境にたいする配慮とそれを実現する技術は,アメリカよりも日本は進んでると思っていた。日本の自動車は,世界に誇る環境対策車ではないのか。国土の狭い日本だからこそ,環境には気を配っていたのでは。

バイオ・エタノール騒動によって,世界で何が起こったか。食べることができるものを燃料に使う。穀物の高騰で,アメリカはどれだけの利益を得たのだろう。また,世界でどれだけの人々が,飢えに苦しむことになったのか。

日本のように,穀物生産量が少なく,食糧自給率の低い国が,どうしてバイオ・エタノールに傾くのか,わたしには理解に苦しむ。

グリーン・ニューディール政策やバイオ・エタノールは,「バスワード」ではないと思うが,その響きはまさに「バズワード」そのものだ。そして,その結果は…。