はじめての心電図検査

小学校の1年のとき,はじめて心電図の検査をした。小さいころからよく熱を出した。扁桃腺が腫れ,高熱を出すことも多かったようだ。そのときも熱を出して,近所の医者にかかった。その医師が,わたしの心音異常に気づいた。
総合病院で検査した方がよいとのことで,紹介状を書いてくれた。熱が下がってから,父に連れられて,国立名古屋病院に行った。そこで診察を受けたのだろうが,その記憶はない。覚えているのは次の2つのこと。
1つは心電図の検査。大きな部屋に入れられた。子どもだったからそのように感じたのかもしれないが,かなり大きな部屋だった。そこに,検査をしてくれる若い男の人と入った。部屋のまわりには,本棚のような大きさの機械が並んでいた。ベッドに横になると,「これからロボットにしてあげる」と,その人は言いながら,手足にべとべとするクリームをぬって電極をつけた。
そこまでの記憶だ。小学1年生が,一人で広い部屋に入れられ,これから何をされるか不安な状況で,なかなか大胆な発言だが,わたしにとって,このことばが不安をやわらげた。楽しそうで,いたずらっぽい表情と口調が,わたしをリラックスさせたようだ。そのときの心電図の検査結果は聞いていないのでよくわからない。確かに心音には異常があり,右心室が少し肥大していることを知らされた。
その後,心音にわずかに雑音があること,心電図で完全右脚ブロックとの診断を受けている。50歳を超えたいまも,その状態には変わりはなく,普通に暮らしている。変わらないのがよいことなのだろう。
もう1つ記憶していることは,名古屋城のまわりを父の車で走ったこと。ちょうどキャッスルホテルの近く,堀に沿った道だったと思う。のちに何度かここを通るたびに,あのときもここを走ったんだと思い出す。数年前まで,名古屋城の近くに住んでいた。ある日,女房と散歩がてら,名古屋城近辺を歩いたことがあった。そのときもそこを通った。不思議ななつかしさを感じる。