虎蚕

カイコガをもらった。虎蚕(とらこ)という変異体。からだに斑紋がある。これが頭部のアップ。


非常によく食べる。食べているようすは次の通り。
http://park2.wakwak.com/~gzutetsu/album/20080524/silkworm.flv


昨夜,えさの桑の葉を箱に入れた直後。

この状態で帰宅し,今朝箱を開けるとこんなふう。

ほんとうによく食べる。


この斑紋を生じる遺伝子は,雌だけがもつZ染色体上にある。そのため,雄には斑紋は生じない。虎蚕は雌のみである。この遺伝を利用すれば,一目で雌雄が区別できる。何のために雌雄を区別したのか,よくわからない。繁殖のためだろうか。

なお,性の決定について補足しておこう。生物の性の決定には,染色体によるものや環境によるものがある。また,染色体による性の決定にはいくつかの様式がある。

まず,染色体は,性の決定に関係しないふつうのもの(常染色体)と,性の決定にかかわるもの(性染色体)とがある。たとえば,ヒトの46本の染色体のうち,44本は常染色体,2本が性染色体である。同じ性染色体を2本もつもの(ホモ接合体)が女,異なる性染色体を1本ずつもつもの(ヘテロ接合体)が男になる。女に2本ある性染色体をX染色体,男にあって女にない性染色体をY染色体と呼ぶので,女はX染色体を2本もち,男はX染色体とY染色体を1本ずつもつ。

カイコガの性の決定も染色体による。しかし,ヒトとは違って,同じ性染色体をもつもの(ホモ接合体)が雄,異なる性染色体をもつもの(ヘテロ接合体)が雌になる。雄に2本ある性染色体をW染色体,雌にあって雄にない性染色体をZ染色体とよぶので,雌はZ染色体とW染色体を1本ずつもち,雄はW染色体を2本もつ。

上の虎蚕は,Z染色体の変異によって生じているため,雌にしか遺伝しない。