トレニアの胚のう

トレニアの胚のうを観察した。まずはトレニアの花から。ホームセンターで1株150円だったそうだ。



いろいろな色がある。写真にはないが,白い花もあった。

トレニアは胚のうが胚珠から飛び出していて,卵細胞や助細胞がよく見える。この花を利用して,被子植物の重複受精の研究ができる。数年前,日本の研究者である東山哲也氏(現在,名古屋大学教授)がとらえた,トレニアの受精の写真は,アメリカの科学雑誌ネイチャーの表紙をも飾った。

研究の材料であるトレニアは,特殊な植物だと思っていたら,ごくふつうに手に入る花だったとは驚きだ。観察するため,花を1つつみ取ったもの。

分解するとこんな感じ。

これが子房で,めしべの付け根にある。この中に胚珠がある。

子房を切り開くと,小さな粒々がたくさんある。それをとって顕微鏡で観察する。次の写真は1つの胚珠を拡大したもの。下方にある透明な部分は胚のうの一部。このように,胚のうが胚珠から飛び出ている。

飛び出している胚のうを拡大したもの。中に丸いものが観察できる。これらがおそらく卵細胞や助細胞なのだろう。

次に,やくと花粉の写真を。

花粉は,めしべの先を通過しないと,胚のうに向かわないらしい。めしべの先に花粉をつけたのち,めしべを切り取る。子房から胚珠を取り出し,特殊な培地に入れて,そこに花粉をつけためしべを置く。めしべの先についた花粉から出た花粉管は,めしべを通過したのち,培地に散らばった胚珠に向かって伸びていく。このようにして,トレニアの受精が観察できるらしい。

花粉管が何に誘引されて胚のうに向かうのか。助細胞をレーザーで破壊すると,花粉管が胚のうに向かわないことから,助細胞に誘因物質があると考えられている。