何が真実なのか

インフルエンザワクチンはあまり効果がない。そのようなうわさを聞いた記憶がある。しかし,風邪も含めて効果がないとしていたという(「インフルエンザの世紀」加地正郎著,平凡社新書)。インフルエンザワクチンなので,インフルエンザにしか効き目がないのは当たり前。それを風邪と混同する医師がいたとは。
これが事実だとすると,大変なことだ。専門家の発言は影響力があり,その責任は大きい。ワクチンが効かないといううわさから,接種を受けない人もいる。抵抗力のない老人などが接種を受けず,インフルエンザに感染して重症になっているとしたら。
インフルエンザワクチンでインフルエンザになることはないという(前出)。現在のインフルエンザワクチンは不活性化されたもの。それを皮下注射で体内に入れ,血液中に抗体を生む。確かに,発熱や腫れなど,副作用はある。でも,このワクチンでインフルエンザになることはない。それにもかかわらず,インフルエンザになるのではないかという不安は,一般に多いのではないか。
真実は何か。それを見抜くにはどうしたらよいのか。このインフルエンザの話だけでなく,これに類することは他にもあると思う。
世の中には情報があふれているが,多くは同じことの繰り返し。ときに間違ったコピーが氾濫する。確かな情報を見分けるには,そこにある論理性や整合性などが鍵になる。あることがらを信じるか,信じないかではなく,それがどれだけ確からしいものであるかを判断する指針を,自分自身に持たなくてはならない。