忘れたアイデアほどすばらしい

 よいアイデアほど,すぐに忘れてしまう。通勤の途中や風呂に入っているときなどに,今度はこのことについて,ここに書こうと思いつくことがある。それもかなりの妙案だ。われながら,これはいいと思うくらいだ。
 しかし,しばらくしてみると,さてさっきは何を考えていたのか,どうしても思い出せない。ほんの一瞬,意識の隣に置いたばかりに,すばらしい思いを失ってしまう。そうすると,今度はそれが気になってしかたがない。いったい,どんなひらめきだったのだろうか。そのように惜しんでいる間は,絶対に思い出すことはない。
 でも,何かの拍子に,それが戻ってくることがある。まったく偶然によみがえる。思い出してみると,それほどのことではないのが常である。何だ,こんなことだったんだと落胆する。あのまま忘れ去ってしまった方が,どれだけ幸せになれることか。
 そのようなことの繰り返しで,結局,このページもなかなか進まなくなってきた。ふつうに日常の出来事を書けばよいのだろう。でも,朝から晩まで仕事についていると,出来事は仕事に関係する。それはここには書きたくない。
 こうやって,毎日何かを書き残すのも楽ではない。